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文化財を巡る

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一度は訪ねてみたい昭和の鉄道遺産・・・ 流れゆく車窓風景と時代を重ね合わせて ノスタルジックな気分を存分に味わって下さい。

東の掛川駅と西の新所原駅を結び、浜名湖の北側を通る全長67.7kmの天竜浜名湖鉄道には全線に渡り、36件にも及ぶ国の登録有形文化財が存在します。先に登録された転車台・扇形車庫・旧機関区(現運転区)施設に続き、平成23年1月には駅舎やプラットフォームを始め、橋梁・隧道など全路線の主要施設が国の登録有形文化財に加わりました。このように多種に及ぶ施設が総合的に登録されたことにより、様々な面で大きな意義を持つ結果となります。

 

文化財情報

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駅舎・プラットホーム

所在地
掛川市富部251-5
建設年
昭和10年
最寄駅
桜木駅
木造の平屋建、切妻造、厚型ストレート葺の建物である。改札口には当初の片引き木製建具、待合室には駅務室の切符売場が突き出し、西面には当初のベンチが残存する。二俣線として、最も早い昭和10年4月17日に開通した3ヶ所の駅の一つである。開通当初の駅名は「遠江桜木」であった。
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所在地
掛川市本郷1416-2
建設年
昭和10年
最寄駅
原谷駅
木造平屋建、切妻造、厚型ストレート葺の建物である。北面に当初のベンチが残存する。今も建設当初の木製改札口が現存し、レトロ感をかもし出している。天井は小幅板の鏡張り、背面下屋を支える頬杖が連子状になり特徴的である。二俣線として最も早い昭和10年4月17日に開通した3ヶ所の駅の一つである。
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所在地
周智郡森町森980-2
建設年
昭和10年
最寄駅
遠州森駅
木造平屋建の本屋、待合室、駅務室からなる。正面右寄りに切妻造の車寄せを突出する。南面には当初のベンチが残存し、窓の木製建具には当初の古い歪ガラスが嵌められている。改札口の二枚引き腰付ガラス戸も残っている。この駅舎は、二俣線として掛川から遠州森までの最も早い昭和10年4月17日に開通した3ヶ所の駅の一つであり、当時の駅舎がほとんど改変されずに残った貴重な遺構である。開通当初は、「遠江森」という駅名であった。
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所在地
周智郡森町一宮2431-2
建設年
昭和15年
最寄駅
遠江一宮駅
木造平屋建の本屋が北面する。正面出入り口には、当初の引き分け腰付ガラスが残存し、正面右寄りに片流れの車寄せを突出させて桟瓦を葺き降ろす。待合室に駅務室の切符売場が突き出し、西面梁間一杯に当初のベンチが残存する。背面には桁行の下屋があり、外壁は縦板張りでできている。二俣線全線が開通する、昭和15年6月に合わせて建設された駅舎である。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵114-2
建設年
昭和15年
最寄駅
天竜二俣駅
木造平屋建、切妻造、桟瓦葺の本屋が北面する。外壁は縦板張りからなる。背面には屋根を葺き降ろしており、かつては乗降場上屋に使用されていたと思われる。駅務室の出札窓口が、広い待合室に突き出し、待合室の天井は船底天井に造られ開放感に溢れる。駅本屋の東南方向に運転区と工務区が続く。その区域には、昭和15年に建設された登録有形文化財の運転区事務室、運転区休憩所、運転区浴場などが並び建ち、最も東端奥に機関車転車台と機関車扇形車庫が位置する。二俣線全線開通の昭和15年6月に合わせて建設された駅舎であり、当時の名前は「遠江二俣」であった。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵114-2
建設年
昭和15年
最寄駅
天竜二俣駅
木造平屋建、切妻造、波形鉄板葺の建物である。柱二本の上部に、挟み梁、頬杖、登り梁などでトラスを形成して、屋根を受ける。各柱列を二枚の桁で繋ぎ上屋を構成する。柱や桁に使用されているレールは、古レールを転用したもので、最も古いものは、1911年にアメリカのカーネギー製鋼会社で作られたもの。他には1929年8月に日本の八幡製鉄所で作られた八幡製鉄所のマークを有する古レールもある。全線開通当時のさまざまな材料や技術、工夫などを見ることができる、貴重な遺構である。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵114-2
建設年
昭和15年
最寄駅
天竜二俣駅
木造平屋建、切妻造、波形鉄板葺の建物。柱二本の上部に、挟み梁、頬杖、登り梁などでトラスを形成して、屋根を受ける。各柱列を二枚の桁で繋ぎ上屋を構成し、妻面の小壁は縦板張りからなる。上り旅客上屋と同様、八幡製鉄所にて製作された古レールが使用されている。上りホームと併せて、全線開通当時の旅客上屋が残存する貴重な遺構である。
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所在地
浜松市浜北区根堅1730-2
建設年
昭和15年
最寄駅
岩水寺駅
木造平屋建、切妻造、波形ストレート葺の建物である。妻面は小壁の縦板張り。当初は背面・側面の外壁は無く上屋のみで、平成3年に外壁が設けられた。二俣線全通に併せて建設された上屋は、特徴的に造られており、5本の単立柱を利用して、変形のトラスで屋根を支えている。さらなる安全を計り、柱には、古レールを使用した補強が施されている。
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所在地
浜松市浜北区宮口119-2
建設年
昭和15年
最寄駅
宮口駅
木造平屋建、切妻造、桟瓦葺の本屋が南面する。正面右寄りに葺き降ろしの車寄せが突き出ている。背面には乗降場の上屋を兼ねた屋根となっている。コンクリート製布基礎を廻し、外壁は縦板張り。待合室出入口及び改札口には当初の引分け腰付板戸がある。東面の梁間一杯にベンチ、当初の木製改札口の一部が残存する。背面西端には物置があるが、屋根は駅本屋と一体になっている。宮口駅は、二俣線全通に併せて建設された駅本屋である。
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所在地
浜松市浜北区宮口119-2
建設年
昭和15年
最寄駅
宮口駅
木造平屋建の片流れ、波形鉄板葺の建物で、外壁は縦板張りでペンキ塗りされている。両面は開放され、三方に木製引き違いのガラス窓及びベンチがある。前面桁と背面桁・母屋を斜めの繁梁で支えている。天井は小幅板の化粧流し張り、ペンキ塗りの仕上げとなっている。
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所在地
浜松市北区引佐町金指1033-2
建設年
昭和13年
最寄駅
金指駅
木造平屋建、切妻造、波形ストレート葺の旅客上屋に、プラっとホームが一体となっている。妻面の上部は建板目板張りと腰横板張り。乗降場中央に、傾斜した柱を立てて三角形を形成する構造体を三組設置している。その上部は、トラスを組み、棟木・母屋・軒桁を支えている。なお、上屋は全線開通の8年後(昭和23年)に建設された。
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所在地
浜松市北区細江町気賀427-1
建設年
昭和13年
最寄駅
気賀駅
木造平屋建、寄棟造、赤色の洋瓦葺が北面する。外壁はモルタル塗り、腰タイル張り。待合室からホームにかけての外部には、布基礎状にタイルが張られている。正面入口及び改札口にもタイルを貼って意匠的な枠となっている。待合室内部の両面に当初の造り付け木製ベンチ、当初の木製改札口がそのまま残存する。そして、ベニヤ板を市松模様に張った天井も見られる。駅務室の中には営業開始当初の「昭和拾参年四月壱日気賀驛営業開始」という札が張られている。
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所在地
浜松市北区細江町気賀427-1
建設年
昭和13年
最寄駅
気賀駅
木造平屋建、切妻造、波形ストレート葺の建物で、小屋組は柱2本の上の部分にトラスを組み、棟木・母屋・桁からなる。妻面の上部の外壁は縦板張り。東端から1間おいて次の1間は、柱間の幅を狭くしている。柱に窓の敷鴨居仕口の痕跡が見られるので、東端の2間は、もとは乗降場待合室であったことが判る。現在は、壁を撤去して開放されている。
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所在地
浜松市北区細江町気賀10185-3
建設年
昭和13年
最寄駅
西気賀駅
木造平屋建、寄棟造、赤色の洋瓦葺が南面する。南東の隅にトラス状に組まれた鉄骨持送りによる庇が付け降ろされている。背面は下屋、波形ストレート葺、鉄製の円柱で屋根を支える。正面入口と背面ホーム側に、当初の引き分け木製吊り戸が残存する。外壁はモルタル塗りで、腰横板張り。待合室の東面一杯に造り付けのベンチがあり。当初の木製改札口が良く残されている。
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所在地
浜松市北区細江町気賀10185-3
建設年
昭和13年
最寄駅
西気賀駅
木造平屋建、片流れ、波形ストレート葺の建物。外壁は縦板張り、その上に後補の波形鉄板張り。待合所の正面は開放され、両袖付き。三方に窓が開いて、木製のガラス戸が嵌めこまれ、ベンチが残存する。隅には、腰当ての板が打たれている。背面の軒桁と梁は、木製の水平ブレースで補強され、軒先の梁の先端は曲線に加工され意匠的に特徴を示している。
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所在地
浜松市北区三ケ日町三ケ日1148-3
建設年
昭和11年
最寄駅
三ケ日駅
木造平屋建、寄棟造、厚型ストレート葺の本屋が北面し、正面右寄りには玄関が突き出ている。背面(南面)及び西面には下屋、鉄板瓦棒葺、旅客上屋がある。窓は木製建具、上りプラットホームへ出る建具は吊り戸からなる。外壁は建板張り、待合室の西面一杯に当初造付け木製ベンチが残存する。床は小幅板張りで、天井は合板市松張りである。現在、車両の乗降をスムーズにするため、プラットホームは2段嵩上げされている。建物財産票によると、この駅舎の建設は昭和11年4月で、新所原・三ヶ日の開通(昭和11年12月1日)に間に合わせて建設された最初期の駅舎の一つである。

橋梁

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所在地
掛川市本郷2154、掛川市幡鎌138-3
竣工年
昭和10年
原野谷川に架かる橋長105メートルの銅製橋梁である。日本橋梁株式会社によって昭和9年に支間12メートル90、連数2の鈑桁が製作された。また、支間19メートル20、連数4の鈑桁は、八幡製鉄の材料、株式会社横河橋梁により昭和9年に製作されたものと判っている。
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所在地
周智郡森町睦実1677-4、森町森621-5
竣工年
昭和10年
戸綿駅のすぐ西側を流れる太田川に架かる橋長192メートルの銅製橋梁である。緩やかな曲線を描くこの橋梁は、河川部に架かる上路鈑桁と道路上に架かる下路鈑桁1連で構成されている。河川部に架かる上路鈑桁橋梁は、日本橋梁株式会社により昭和9年(1934)に製作され、道路上の下路鈑桁橋梁は、川崎車両橋梁株式会社が昭和8年に製作した。
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所在地
浜松市天竜区二俣町二俣40-2、二俣町二俣1601-29地先
建設年
昭和15年
二俣駅の西500メートル、二俣本町駅のやや東側の二俣川に架かる橋梁で、橋長は58メートル。両端部にコンクリート造単桁橋梁を配し、中央部に鋼製2連桁橋を用いる。緩やかにカーブする橋梁で、八幡製鉄所の鋼材を使用して日本橋梁株式会社が製作したことが確認されている。
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所在地
浜松市天竜区二俣町鹿島485-2、二俣町鹿島544地先
建設年
昭和15年
天竜川橋梁は二俣本町駅から約1キロメートル南西方向の天竜川に南北方向に架かる橋梁で、橋長403メートルと天竜浜名湖鉄道の橋梁の中では最も長くトラス橋の形式を採る唯一のものである。北側(二俣本町側)に支間62メートル40の3連トラス橋を架け南側には支間31メートル50、上路鈑桁
6連と22メートル30の上路鈑桁を接続する。
橋台及び橋脚はいずれも鉄筋コンクリート製である。西(川上)側の国道362号線に架かる鹿島橋(昭和12年竣工)と並走する景観は沿線でも見所のポイントである。
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所在地
浜松市北区都田町4064-7、4502-46
建設年
昭和15年
フルーツパーク駅から西へ100メートル余の都田川に架かる橋梁である。水中に浸かる2本の橋脚は他と異なり、底部が円形で脚部も円柱である。低水位ラインから線路面までは14メートル20もあり、かなりの高さである。2連の製作プレートは、いずれも昭和13年に八幡製鉄所の鋼材を用いて制作されているが、1連は川崎車輌株式会社、もう1連は日本橋梁株式会社の製作である。

鉄道施設

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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年
蒸気機関車の進行方向を転換させるために造られたもので、鉄製で直径約18メートルに及ぶ。現在は、電動により回転するが、建設当時は手動にて回転させていた。蒸気機関車が走っていた頃は、掛川駅、天竜二俣駅、金指駅及び豊橋駅で使用されていたが、現在では天竜二俣駅のみに残されており、平成10年12月に国の登録有形文化財に登録されている。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年
木造平屋建、波形ストレート鉄板葺で建築面積は686㎡。建設当時は6線分の格納が可能であったが、転車台から見て右側の2線分が切り縮められている。総木造で庫内に下る柱を少なくするために力強い架構を持つ。転車台同様、平成10年12月に国の登録有形文化財に登録されている。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年頃
規模
水槽 外径6メートル、高さ4メートル70(内容量約70トン)
全体 高さ11メートル60(地面より)
鉄筋コンクリート造の高架貯水槽。6本のRC造脚の上に、内容70トンのRC造貯水槽が載る。脚の内側に揚水施設のポンプや配管の一部が今も残存する。貯水槽の製作時期に関しては、明確な資料が残されていないようである。ところが、昭和15年(1940)当時の天竜二俣駅及び運転区・工務区の全景を写した古写真が残されている。そこには現在地に立つ高架貯水槽も写っているので、開業に間に合うように施工されたことが確認できる。部分拡大写真を見ると、高架貯水槽の廻りには工事用の仮設足場と思われるものと人物が写っており、何らかの作業が行われていたことが判る。高さ3メートル94の位置まで補強のためにコンクリート増し打ちが施されている脚部は、昭和19年の東南海地震後に施工されたことが伝えられている。
所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年
機関区の中央南端に位置する。木造平屋建、切妻造、竪板壁で、北面に出入口、南・西面に大きく窓を開ける簡易な建築。室内に揚水ポンプの一部が残存しており、隣接して外径3.6メートル、高さ1.1m(地上)の鉄筋コンクリート造井戸を付設。天竜浜名湖全線の内、高架貯水槽を備えているのは金指駅があるが、鉄筋コンクリート製の井戸もセットで残るのは、天竜二俣駅の運転区のみである。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年
木造平屋建で一部が二階建となっており、屋根は葺土の上に桟瓦葺き。
外壁は杉板縦張り、ガラス窓は格子桟付の木製が特徴となる。
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所在地
浜松市北区引佐町金指1033-2
建設年
昭和13年頃
規模
水槽 外径4メートル 高さ2メートル40(内容量約18トン)
全体 高さ6メートル80(地面より)
鉄筋コンクリート造の高架貯水槽。4本のRC造脚の上に、外径4メートル、内容量約18トンのRC造の貯水槽が載る。特徴は貯水槽の頂部を円形にしているところだ。中央に鉄管が残っており、基礎部には揚水ポンプがつけられていた跡が残存する。製作時期については明確な資料はないが、金指駅は昭和13年4月に開通しているので、そのときにはこの高架貯水槽も完成されていたと考えられている。

その他施設

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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年
事務室棟の背面に浴場と並んで建ち、事務室棟との間に屋根を渡してつないでいる。内部に休憩室、湯沸所、青写真室、便所を配している。機関区の活況を今に伝える施設として貴重な建物である。
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所在地
浜松市天竜区二俣町阿蔵230-2
建設年
昭和15年
木造平屋建、日本瓦葺で事務室棟に沿って並び、それぞれ屋根だけの渡り廊下で結ばれている。
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所在地
浜松市北区細江町気賀113-2、113-9、129-15
建設年
昭和13年
全体を総称した全長89メートル68の「気賀町高架橋」は、気賀駅のおよそ400メートル東の街中にあり、県道261号を跨ぐ一連の高架橋である。
※これら代表的な30施設の他にも6箇所の登録があり、全36施設が国の登録有形文化財に登録されています。
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